症例報告【左肩が上がらない】

症例報告
年代:50代
職業:デスクワーク(長時間の座位姿勢が多い業務)
性別:女性
主訴
左肩が上がらない、夜間の痛みが強く眠れない。腰痛を伴い、日常生活全般に支障をきたしている。
原因
「反り腰姿勢」が定着しており、長時間のデスクワークによる姿勢不良、特に猫背や巻き肩が強い。さらに、物を上に持ち上げる動作において、腰を反る動きで代償していたため、肩関節本来の可動域を使えず、負担が蓄積していた。これらの要因が複合的に重なり、左肩の可動制限と痛みを引き起こしたと考えられる。
既往歴
特に大きな整形外科的既往や外傷歴はなし。
お悩み
* 左肩が90度以上挙上できず、日常動作(洗濯物を干す、棚の物を取る等)が困難。
* 夜間の強い痛みで熟睡できず、睡眠不足により疲労感が増している。
* 首の動きにも影響があり、特に左側への側屈や回旋で痛みを伴う。
* 腰痛も慢性的で、同じ姿勢を維持するのがつらい。
初回の状況
初回来院時、左肩の外転動作は90度程度で強い制限があり、それ以上の動きでは激しい痛みを訴え、仰臥位になるのも辛かった。夜間痛が顕著で、熟睡できず、疲労感・倦怠感も強い様子。姿勢評価では反り腰が顕著で、腰部への負担が大きく、腰痛も慢性的に出現していた。また、首の左側屈・回旋に伴う痛みもあり、上半身全体の可動性が制限されていた。
6回目の状況
6回目の施術・運動療法を終えた段階で、左肩の外転挙動は制限がなくなり、痛みも大幅に軽減。夜間の痛みも改善され、睡眠がしっかりと取れるようになった。反り腰姿勢も改善傾向が見られ、腰痛の程度も軽減。姿勢の安定性が向上したことで、首の側屈・回旋時の痛みも和らいでいる。
さらに、ご自宅でのセルフケア(ストレッチポールを用いた姿勢改善エクササイズ等)を習慣化できており、再発予防に取り組めている。定期的な通所に加え、ご本人の意識が高まったことで、日常生活動作もスムーズに行えるようになり、心身ともに快適な状態へと近づいている。
まとめ
本症例は、長時間のデスクワークと誤った動作習慣により姿勢が崩れ、肩・腰・首に複合的な不調を抱えていた50代女性のケース。初回は肩の強い可動制限と夜間痛に悩まされていたが、適切な運動療法とセルフケアの導入により、6回目の段階で肩の挙上制限は消失。睡眠の質も改善され、反り腰や腰痛も軽減傾向を示した。ご本人が主体的にケアに取り組む習慣を身につけたことが、改善の大きな要因と考えられる。今後は再発予防とさらなる機能向上を目指し、継続的なサポートを行っていきます。