症例報告【腰痛】

症例報告
年代:70代
職業:農業・デスクワーク
性別:女性
主訴
右膝の痛みによる歩行制限、腰痛
原因
日常生活や農作業の中で階段の上り下りが続いた際に、右膝だけに頼るような動きを繰り返したことが原因と考えられる。特に、膝が前に突き出るフォームで動作を行う癖があり、膝関節に過度なストレスが集中した。その結果、腫れや炎症、強い痛みが出現した。腰痛については、中腰姿勢での農作業が長時間続くことで腰部へ負担が積み重なり、症状として現れている。
既往歴
特記事項なし
お悩み
・朝の起き上がりで膝を曲げ伸ばしする際の痛み
・階段の上り下りでの強い痛み
・農作業で必要な草取りやしゃがみ込みが困難で、思うように体が動かせない
日常生活や仕事に直結する動作が制限され、「動けるカラダ」を取り戻したいという強い希望を持たれていた。
初回の状況
初回来院時は、歩行時に右足へ荷重がかかると膝に鋭い痛みが出現。腫れも強く、可動域が大きく制限されていた。動作確認では、階段を上る際に膝主導の動きとなり、臀部や股関節の筋肉を十分に活用できていなかった。この「膝に頼る動き」が痛みの悪循環をつくり出していた。そこで施術と運動療法を組み合わせ、右臀部をしっかり使って体重を受け止める動作を学習したところ、膝の負担が軽減し、その場で痛みの軽減を実感いただけた。
6回目の状況
6回目の来院時には、膝の腫れは一部残存するものの、朝の起き上がりや階段動作に伴う痛みは大きく軽減。完全な屈曲はまだ難しいが、初回に比べて炎症は落ち着き、臀部を活かした動き方が習慣化し始めている。農作業でのしゃがみ込みには制限があるが、体の使い方を工夫することで少しずつ対応できるようになり、ご本人も「動ける感覚が戻ってきた」と変化を実感されている。
今後の方針
膝の炎症コントロールを継続しつつ、「膝に頼らず股関節と臀部を使う動作」を身につけ、再発を防ぐことを目標とする。また、農業で前傾姿勢になる機会が多いため、背部の硬さや姿勢の崩れにもアプローチし、体幹と臀部を同時に働かせることで、長時間の作業でも疲れにくい「より動けるカラダ」をつくっていく。セルフケアとしてはストレッチポールを用いた運動を習慣化し、自宅でも継続できている。
まとめ
今回の症例は、膝に負担が集中する動作習慣から痛みが出ていたが、「使えていなかったお尻を目覚めさせる」ことによって動きが改善されてきている。今後も施術と運動療法、セルフケアを組み合わせ、「再発しないカラダづくり」と「機能改善」を同時に進めていく。農業という生活の中でも安心して動ける身体を取り戻し、長く健康に活動できるようサポートしていく予定である。